バレエの人気ヴァリエーションを動画で比較 〜『眠れる森の美女』編


ここでは、バレエ『眠れる森の美女』の人気ヴァリエーションを動画で比較してみました。ここで取り上げるヴァリエーションは、「フロリナ王女のヴァリエーション」「オーロラ姫のヴァリエーション」「リラの精」です。

それぞれについて、踊りのコツと、数人のダンサーの表現方法の違いを動画と共に比較してみました。同じヴァリエーションでも、踊り手が違うと、まるで違う作品かのように見えてきます。そして、全ての動画を見比べている内に、そのヴァリエーションを踊るために必要な技術、また、各ダンサーが大切にしようとしている表現のこだわりが見えてきて、とてもおもしろいです。

あなたはどのヴァリエーションが好きですか?どのような雰囲気で踊りたいですか?ぜひ、各ダンサーの多様な表現を見比べてみてください。

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バレエの人気ヴァリエーションを動画で比較 〜『眠れる森の美女』第3幕 フロリナ王女のヴァリエーション

「フロリナ王女」のヴァリエーションを踊るには、まず、その背景となる「フロリナ王女と青い鳥」のお話を知っておいた方がいいですね。
フロリナ王女と青い鳥は、『眠れる森の美女』とは直接関係ない別の童話の登場人物です。
3幕のディベルティスマンに出てくるシンデレラ、赤ずきんちゃんなども同じです。振付の細かい部分は振付ける先生によって変わりますので、ここでは大まかなストーリーを把握しておきましょう。

フロリナ王女は継母に高い塔の中に閉じ込められています。
その継母の魔法で青い鳥の姿に変えられた王子が、
フロリナ王女に会いに毎日塔の外に飛んできます。
青い鳥のさえずりを聞きながらフロリナは踊ります。
寂しい毎日の中で唯一慰められる幸せな時間です。

フロリナ王女のヴァリエーションには、鳥の真似をしたり、さえずりの声を聞いたり、そんな振付が入っています。このお話の最後は、継母を倒して王子も元の姿に戻りフロリナと結ばれます。

フロリナ王女は初心者の方によく踊られるヴァリエーションですが、気をつけたいポイントはたくさんあります。
ポール・ド・ブラを柔らかく滑らかに、鳥のさえずりを聴いたり鳥の真似をしたりする動きの繊細な表現、そして、幸せに満ち溢れた表情も大切ですね。

動画をじっくりみて、各ダンサーの表現をチェックしてみましょう!

 

スヴェトラーナ・ザハロワ(Svetlana Zakharova/マリインスキー・バレエ)

:ウクライナ共和国出身。ウクライナ国立キエフ・バレエ学校、1995年にワガノワ・バレエ学校を経て、翌年、マリインスキー劇場バレエに入団し、97年ソリストに昇格。際立ったテクニック、演技力、舞台での存在感と華麗さをもつスターダンサー。

・フロリナ王女は王女であって鳥ではないのですが、冒頭のポーズがまさに鳥のようですね…。
・ポアントで立つ瞬間も、プラットフォーム(トウシューズの先)がまるで床に吸いついているかのようで、重力を感じさせない動きでありながら、しっかりと床を捉え、地に根を張って踊られているのがとても心地良いです。
・そして、しなやかでありながら動きが流れることなく、一つ一つのポーズに完璧な“美”が表現されています。

 

酒井はな(新国立劇場バレエ団)

:1974年アメリカ生まれ。帰国後、橘バレエ学校、牧阿佐美バレヱ団を経て、1997年に新国立劇場バレエ団へ入団。生来の「華」を持つ、日本を代表するバレリーナのひとり。輝かしいオーラと輪郭の際立った踊り、豊かな情感とで、舞台に鮮やかな物語を紡ぎ出す。牧阿佐美バレヱ団を経て、新国立劇場に開場時から参加。バレエ団の看板プリマとして、あらゆる作品で主演を踊ったほか、近年では海外の振付家によるコンテンポラリーダンス作品を踊るなど、新たなフィールドを切り開いている。

※4分40秒〜

・一瞬のスキも感じさせないほどすべての音が精確に心地よく表現されています。
・一つ一つの動き、パとパのつながりがとても丁寧でありつつ、顔と体の向きが明確で華やかさが感じられます。

 

チェ・ユイ(Yuhui Choe/ロイヤル・バレエ)

:1984年福岡出身。5歳でバレエを始め、2年ローザンヌ。国際バレエコンクールで受賞し、ロイヤル。バレエの研修生に。3年にロイヤル・バレエに入団し、8年、ファースト・ソリストに昇進。

・先の3つの振付とは違うバージョンですね。冒頭でグランバットマンとパドブレが入っています。また、途中、上手(向かって右)前から下手(向かって左)に向かって移動するパでは、エシャペ時の上半身のポーズが独特ですね。鳥の様にしなやかで美しいポーズです。ポワントでパッセにするよりも、テクニック的には少し易しめかもしれません。
・派手にみせようとする部分がなく、どちらかというとやや淡々としてみえますが、無駄な動きがなく、優雅で上品な雰囲気が彼女の個性として表現されていますね。

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感想(1件)

 

バレエの人気ヴァリエーションを動画で比較 〜『眠れる森の美女』第3幕 オーロラ姫のヴァリエーション

バレエ『眠れる森の美女』の人気ヴァリエーション、お次は「オーロラ姫のヴァリエーション』を動画で比較してみました。

第3幕では、いよいよ、オーロラ姫とデジレ王子の結婚式が始まります。宮廷では、金や銀、ダイヤモンド、サファイヤなどの宝石の精達が祝福の踊りを披露し、「赤ずきんちゃん」や「長靴をはいた猫」、「青い鳥」とフロリナ王女、シンデレラとフォルチュネ王子といった、ペロー童話の主人公達もお祝いに駆けつけますね。そして、祝宴の最後を締めくくるのが、オーロラ姫とデジレ王子です。永い年月を超えて結ばれた運命の二人が、幸せを全身で表しながら踊る、最高に華やかな場面です。

ですから、このヴァリエーションを踊るポイントとして、「姫」らしさ、すなわち、上半身の背中、肩、アームスを柔らかく使うこと、肩を下げて首を長く使うこと、アラセゴンの腕は低めに使うこと、背中を上げる意識を保つこと…などですね。それと、特に大切なのが「呼吸を使う」ことです。これはどの踊りにも応用ききますが、ポーズや魅せたい形のときは息を吸い、プリエのときは細く長く吐き、動きを伸びやかにみせることです。そうすると、カクカクした感じがなくなり、姫らしいたおやかな表現ができるようになります。

 

吉田都(ロイヤル・バレエ)

:東京都出身。日本が世界に誇るプリマ・バレリーナ。英国ロイヤル・バレエのプリンシパルとして長く活躍し、現在は日本を拠点にフリーランスとして活動している。彼女のどこまでも精確な動きは透明感に溢れ、澄んだ水の流れを思わせる清らかさがある。強靭なテクニックに支えられながらも決してこれ見よがしな派手さのないその踊りは、すべての瞬間が調和に満ちており、温かさ、優しさを舞台に漂わせる。

※ごめんなさい。動画を見ることができません。

・一音一音の音のとり方が正確であるというだけでなく、彼女の音楽的感性による彼女自身の表現となって表れているところに、感動します。音を引っぱったり、細かく機敏に刻んだり… 心の機敏がとても繊細に表現されています。
・表情が豊かで、一つ一つ、語りかけるように丁寧に表現されているので、不思議とあたたかい気持ちになります。踊りを通して場の空気まで動かしているのですね。

 

ディアナ・ヴィシニョーワ

:1976年サンクト=ペテルブルク生まれ。ロシアを代表するスター・バレリーナ。マリインスキー・バレエとアメリカン・バレエ・シアター(ABT)を中心に世界中で活躍している。

・ゴールドのお袖がとても上品で愛らしいですね! 私個人的に、チュチュの感じも好きです。
・アチチュードアラベスクがキマッた瞬間の、宙に浮いているかのような、別世界に行ってしまうかのような雰囲気に魅了されます。
・そして、後半のダブル・ピルエット・アンドゥオールの安定感、半端ないです。余計な力みが一切なく、軸が完璧にキープされています。

 

エフゲーニャ・オブラスツォーワ (ボリショイ・バレエ)

:1984年、レニングラード生まれ。ワガノワ・バレエアカデミーを経て、2002年にマリインスキー・バレエ団へ入団。2008年にファースト・ソリストに昇格。モスクワのボリショイバレエ団へ2012年に移籍。金髪でお伽話しのお姫様の様な美しい姿、卓越した技術力とその可憐な演技には多くの観客が魅了されてきた。

・まず、首から肩にかけてのなめらかなラインがとても上品で美しく、「姫」の品格が全身に溢れ出ていますね〜 うらやましい限りです(^^;;
・前半と後半は、あえてゆっくりな雰囲気で展開していますが、中盤のシソンヌの動きの辺りで、突然アレグロにも近い機敏な表現を入れているところも、アクセントになっていていいですね。

バレエの人気ヴァリエーションを動画で比較 〜『眠れる森の美女』第3幕 リラの精のヴァリエーション

最後に、『眠れる森の美女』の中で特に重要なキャラクター、「リラの精」のヴァリエーションについてです。眠れる森の美女の登場人物の中でも超重要キャラクターのリラの精。リラの精がいなければ、オーロラ姫は16歳で死んでしまうし、王子は登場すらできないし、もはやお話になりません…!(◎_◎;)

物語全編を通していくつかのテーマが読み取れますが、その中の一つに「善と悪の対峙」があります。善の妖精リラの精と、悪の精カラボス。この二つの対峙がある意味物語全体における見所でもあり、そのためにもリラの精には包容力というか、寛大さ、強さ、物語全てを包括するような雰囲気が必要です。彼女のおかげで王様もお妃様もみんな安心して眠りにつくのですからね。

なので、ヴァリエーションも雄大さが出るように、大きく悠然と優雅さと強さを持って毅然と踊れるといいですね。あの美しい流れるような音楽をよく聞いて、パとパのつなぎや足さばきを丁寧に踊ること、そして、ただ流れるだけじゃなく、ビシッと強さのスパイスを入れて、ピケアラベスクやピルエット・アンデダンなどの見せるべきところをしっかりと決めていくことも大切です。

 

Sangeun Lee(ドレスデン国立歌劇場バレエ団)

・テンポが速めのバーションです。冒頭のグランバットマン→ロンデ→「ピケ」になっているところが、軽やかな印象で特徴的ですね。
・上半身、アームスの使い方、そして、グッと甲の出た足先の使い方がとても丁寧でしなやかです。寛大でおおらかなリラの精の性質が見事に表現されていますね。
・シソンヌ・フェルメ→パッセ→ダブルピルエットの一連の動きの流れがとてもスムーズに見えるのは、シソンヌ・フェルメを若干速めにとってパッセ→ダブルピルエットに余裕をもたせているからでしょうか。そのあたりのコントロールも抜群です。

 

菊池美樹(新国立劇場バレエ)

:元新国立劇場バレエ団ソリスト。村松賞受賞。

・長い手足が大変優美で、リラの精にぴったりのダンサーです。
・テンポが非常にゆっくりなバージョンですが、動きに隙がなく、丁寧に表現されています。
・アラベスクのコントロールが見事で、冒頭のピケ・アラベスクから最後のピケ・アラベスクに至る全てのところでコントロールが乱れないところに、テクニックの強靭さが表れていますね。

 

エヴ・グリンシュタイン(Eve Grinsztajn/パリ・オペラ座バレエ)

 

・冒頭のグランバットマンのコントロールが最高に良いですね。その後のアームスの形も通常は両腕をクロスさせる場合が多いですが、あえてアンナバンに持ってくることで、上体のバランスをキープする高貴な雰囲気を表現する効果があるようです。パリ・オペラ座はこのバーションが多いようですね。
・中盤のシソンヌ・フェルメ→パッセ→ダブルピルエットのところで、ピルエットのプレパレーションが微妙に4番からになっているのが少し気になりますが、ピルエットの納めの5番プリエがとても丁寧で美しいです。
・全体的に、私個人的には上体の使い方にもう少し伸びとしなやかさがあっても良いのかな・・・と思ったりもします。好みの問題かもしれないですが。
・最後はピケアラベスクで締めるバージョンが一般的であるように思いますが、最後はダブルピルエットで締めて高貴な印象のポーズでパシッと決まっています。

 

マリ=アニエス・ジロ(パリ・オペラ座バレエ)

:ノルマンディ生まれ。04年、パリ・オペラ座エトワールに。オペラ座の中でも、最も現代的な感性を持ったエトワールの一人。輝かしいオーラ、長身から繰り出されるダイナミックなダンスでスケールの大きい華やかさが観客を魅了する。自ら振付も行う創造性が、とりわけコンテンポラリー作品で強い光を放つ。

・前述の動画と同様に、冒頭のグランバットマンのコントロールが抜群に良いですね!まるで時が止まったかのようです。その後のアームスの形も通常は両腕をクロスさせる場合が多いですが、あえてアンナバンに持ってくることで、上体のバランスがしっかりキープされ、高貴な雰囲気が表現されています。
・冒頭のグランバットマンのコントロールに加えて、ピケアラベスク、ダブルピルエットのコントロールも抜群です!動きの流麗な流れをしっかりとキープしつつ、テクニックの見せ所で丁寧にかつビシッと決まるので、スパイスのき効いた美味しい料理を食べている時のように、夢中で見入ってしまいますね。

さて、ここまでバレエの『眠れる森の美女』の人気ヴァリエーションを動画で比較してきましたが、いかがでしたか?この記事が、あなたの表現テクニック向上のために少しでもお役に立てたら幸いです。

→ バレエの人気ヴァリエーションを動画で比較〜『白鳥の湖』編はこちらの記事をご覧ください。

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