バレエの人気ヴァリエーションを動画で比較 〜『白鳥の湖』編


バレエ 『白鳥の湖』のヴァリエーションには、第一幕の王子の成人式のお祝いの場面で踊られるパ・ド・トロワ第一と第二、第二幕のオデットのバリエーション、第三幕のオディールのバリエーションがあります。

ここでは、バレエ 『白鳥の湖』のヴァリエーションの特徴を数人のダンサーの動画を比較しながらご紹介します。『白鳥の湖』が大好きな方、これからヴァリエーションを発表会やコンクールで踊られる方、ぜひチェックしてみてくださいね。

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バレエ『白鳥の湖』のヴァリエーションを動画で比較 〜第一幕 パ・ド・トロワ

バレエ『白鳥の湖』の物語は、ジークフリート王子が成人式を迎える場面から幕を開けます。王子は、「明日の舞踏会で花嫁を選ぶように」と王妃から言い渡されます。気がのらず、憂鬱気味の王子ですが、そんな王子とは対照的に、舞踏会の場では、王子の友人たちによるとても華やかなお祝いのダンスが踊られます。この踊りが、第一幕のパ・ド・トロワです。とても華やかで幸せな場面ですよ。

パ・ド・トロワとは、「3人の踊り」の意味で、この場面では男性1人女性2人で踊られます。また、第一幕のパ・ド・トロワには第一と第二があり、第一とは女性ソロVaの1番目ということです。女性ソロには第二Vaもあり、男性Vaもありますので、場面としてはとても盛り上がる感じです。

こちらの動画は、ボリショイ・バレエによる第一幕パ・ド・トロワ第Va(2’32″〜)と第二Va(5’25″〜)です。

ボリショイバレエは、ロシアの首都モスクワにある世界屈指のカンパニーで、1776年に私立の劇場として創設されました。元々、情熱的で劇的な表現が特徴的であったようですが、20世紀後半からは、男性舞踊手の踊りのスケールの大きさや、男性主役の作品が多いことが特色となっているようですね。

貴族のお嬢様ですから、上品かつ優美でありつつ、お祝いの場にふさわしく、軽やかに明るい雰囲気で踊ると良いですね。

このパ・ド・トロワのステップの特徴として、ゆったりしつつもピルエットやプロムナードといった男性と組んで踊る際の基本的なステップが多く用いられているため、男性にサポートしてもらうことを経験するのに入りやすく、初めて男性パートナーと組んで踊る曲としてもよく用いられるようです。

 

バレエ『白鳥の湖』のヴァリエーションを動画で比較 〜第二幕 オデットのヴァリエーション

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第二幕のあらすじ。

王子は狩りの途中、白鳥の群れと出会う。すると一羽の白鳥が、王子の眼の前で見たこともないほど美しい娘に変わる。王子は我を忘れて娘に駆け寄り、娘は驚いて彼の手から逃れようとするが、王子が弓を置くのを見て、ようやく身の上を語り始める。

彼女の名はオデットといい、侍女たちと花摘みに出たところを、悪魔ロットバルトの呪いで白鳥に変えられてしまったのだった。呪いを解くためには真実の愛が必要である。王子は白鳥の娘オデットに一目惚れし、喜んで愛を誓おうと約束する。

白鳥を模した、羽ばたくようなアームスが特徴的なオデットのバリエーション。黒鳥のものほど技術的に難しいわけではありませんが、ポーズの美しさや表現力が問われるバリエーションです。

⇨ なお、オデットのヴァリエーションの腕の動きのレッスン動画はこちら

それでは、3人のダンサーによる第二幕オデットのヴァリエーションを動画でご紹介します。

スヴェトラーナ・ザハロワ

ウクライナ共和国出身。ウクライナ国立キエフ・バレエ学校からワガノワ・バレエ学校を経て、マリインスキー劇場バレエに入団し、97年ソリストに昇格。95年の第3回サンクトペテルブルグ国際バレエ・コンクールでワガノワ賞を受賞している。際立ったテクニック、演技力、舞台での存在感と華麗さをもつスターダンサー。世界の名だたるプリマバレリーナの中でも屈指と言える、恵まれた華奢な体型。繊細な動きとそして重力を感じさせない、高度なテクニックと観る者を陶酔させる表現の優雅さに国の内外を問わず、多くの人が魅了されています。

この動画でも、1ミリの乱れもない完璧なまでのコントロールをみせつつも、動きが決して“運動”にならず、“表現”として情感たっぷりに心にうったえかけてきますね。出演者の中にその名があると、ロンドン、ニューヨーク、パリのどの劇場でも必ず満席になるそうですが… なるほどよくわかります(≧∇≦)

上野水香

170cmの長身に、美しくしなやかに伸びる脚。小さく愛らしい顔立ち。日本人離れしたプロポーションの持ち主で、西欧人にも決して引けを取らない。その上登場した途端、舞台を輝かせる天性の華がある。現在活躍する日本のバレリーナの中でも一頭地を抜く存在である。1995年に牧阿佐美バレヱ団に入団を経て、2004年には東京バレエ団に移籍。海外に招かれて舞台に立つことも多く、日本を拠点としながらも世界狭しと活躍し続け、日本人ダンサーの新しいモデル像を提示している。

体型は日本人離れしていますが、彼女の表現のひとつひとつを丁寧にみてみると、動きの細部にまでこだわって繊細に表現している様子がみえてきます。彼女はとてもテクニカルなので、なんとなくヒョーヒョーと無機質に踊っているようにもみえますが、あえて情感をみせずに身体の動きだけで魅せるところが、彼女のさらなる魅力なのかもしれませんね。

酒井はな

生来の「華」を持つ、日本を代表するバレリーナのひとり。輝かしいオーラと輪郭の際立った踊り、豊かな情感とで、舞台に鮮やかな物語を紡ぎ出す。牧阿佐美バレヱ団を経て、新国立劇場に開場時から参加。バレエ団の看板プリマとして、あらゆる作品で主演を踊ったほか、近年では海外の振付家によるコンテンポラリーダンス作品を踊るなど、新たなフィールドを切り開いている。

この動画でも、ピケアラベスクやシソンヌ・フェルメなど、ひとつひとつのポーズや動きのフォルムが完璧で、音と動きとがまるで一体となっているように心地よく感じられるのも彼女が観客を惹きつける魅力のひとつですね。

バレエ『白鳥の湖』のヴァリエーションを動画で比較 〜第三幕オディールのヴァリエーション

バレエ『白鳥の湖』の人気ヴァリエーションの動画比較、最後に、第三幕、オディールのヴァリエーションを取り上げてご紹介します。

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第三幕 あらすじ。
王宮での豪華な舞踏会で、スペイン、ハンガリー、ナポリ、ポーランドなど、異国情緒あふれるキャラクター・ダンスが華やかさを盛り上げ、そのクライマックスで悪魔の娘オディールと王子の「黒鳥のグラン・パ・ド・ドウ」が踊られる。踊るほどにオディールの妖艶な美しさに魅了され、ついには彼女こそオデットだと信じて愛を誓ってしまう。その途端、正体を現した悪魔とその娘は、窓の外で羽ばたくオデットの姿を指し示し、あざ笑いながら消えていく。王子は自分の犯した過ちを悔いながら、オデットを追って湖を目指す。

黒鳥のバリエーションには、プティパ版とブルメイスティル版(グリゴローヴィッチ版)の2バージョンがあります。ブルメイスティル版のほうが、本来チャイコフスキーが作った形なのだそうです。プティパ版は悪魔の娘ながらも姫らしさを漂わせる美しいメロディーで、ブルメイスティル版はいかにも黒鳥というような、怪しげなメロディから始まります。
どちらも大変難しく、優雅さや演技力、テクニック、体力、スピード感など様々なことが要求される大変難しい役です。でも私個人的には、ブルメイスティル版の妖艶な雰囲気が好きです。

こちらのヴァリエーションはプルメイスティル版です。メリハリをつけた手足の動きや、キレのある回転をお楽しみください。テクニック的にはかなり難しいです。

ニーナ・アナニシビリ

彼女は、芸術監督として故国グルジアのバレエ団を率いる、世界的プリマ・バレリーナです。小さな頭、コンパクトな上体、長く美しい脚。バレリーナとして理想的なプロポーションを備え、強靭なテクニックとひまわりのような笑顔、踊る彼女の全身からにじみ出る温かいハートが、とても魅力的です。

この動画でも、音楽の盛り上がりとともに、キレのよい回転やジャンプが際立って、まるで黒鳥の正体が現になってくる感じ!この妖艶さがたまらなく魅力的ですね。

もうひとつが、よりメジャーなプティパ版。コンクール等で踊られる方はこちらのプティパ版です。一般的に、オディールのヴァリエーションと言えばプティパ版を指すことが多いですね。

パ・ド・ブレ・アントゥールナン、ピルエットダブルからアティチュード・トゥール、ではじまります。あとは、ア・ラ・スゴンド・トゥール、ウーベルト、ランベルセなどが盛り込まれ、高度で確実なテクニックを要します。

ウリヤーナ・ロパートキナ

マリインスキー・バレエ団の頂点に立ち続けるプリマ・バレリーナ。ロパートキナの踊りの特徴は、何よりもポーズの完璧なまでの美しさであると評されます。無駄を一切削ぎ落としたようなその踊りは、深い精神性を感じさせます。音楽性にも非常に優れ、「音楽が私の身体を通して自分自身を表現したいと思っているように感じる。つまり、私の身体もまた楽器なんです。もうひとつの音を奏でる楽器です」と語っています。

彼女の存在そのものがすでにホンモノの白鳥のようですが、なによりも感動するのが彼女が語るように、その音楽性ですね。まるで音が彼女のなかに浸透して、彼女にしか創り出せない独特のリズムをうみだしている。それも、観る者をうっとりさせたりハッとさせたり… 魔法のリズム。

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ジリアン・マーフィー

都会的な洗練を漂わせるABTのクール・ビューティー。イギリス出身。96年にABT入団、02年にプリンシパルとなり、以来、バレエ団を代表するプリマの一人として多彩な活躍を見せている。強靭なテクニックの持ち主で、とりわけ回転は『白鳥の湖』黒鳥のグラン・パ・ド・ドウの32回フェッテを平然とトリプルで回ってしまう実力で観客の度肝を抜く。
⇨ 32回転フェッテのコツについてはこちらの記事をご覧ください。

バレエ『白鳥の湖』の人気ヴァリエーションを動画で比較してきましたが、いかがでしたか?あなたの表現テクニック向上のためにこの記事をお役立ていただけたら嬉しいです

→ バレエ『白鳥の湖』のヴァリエーションを動画で比較 〜『眠れる森の美女』編はこちらの記事をご覧ください。

 

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