子どもも大人も知っておきたい! バレエ『白鳥の湖』のあらすじと名曲紹介


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バレエをほとんど見ない人でも、『白鳥の湖』のタイトルと、純白のチュチュに身を包んだヒロインの姿はきっとどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか。それほどよく知られている理由は、この作品のなかにバレエの魅力のエッセンスが凝縮されているからだといえるでしょう。美しい音楽と振付、この世ならぬ美女と高貴な若者のロマンス、なにより白鳥という言葉が呼び起こす清らかで凛としたイメージが、バレエそのものの印象に重なるからかもしれません。このように圧倒的な知名度を誇る『白鳥の湖』は、近年ではそのイメージを覆すような大胆なバージョンも次々に登場しているようです。

ここでは、子どもも大人もぜひ知っておきたい!バレエ『白鳥の湖』をさらに楽しんでいただくために、あらすじと見どころ、そして、チェックしておきたい名曲の数々をご紹介します!

子どもも大人も知っておきたい!バレエ 『白鳥の湖』のあらすじ

『白鳥の湖』のあらすじを実は知らない… という方のために、簡単にあらすじをさらってみましょう。

物語は、ジークフリート王子が成人式を迎える場面から幕を開けます。明日の舞踏会で花嫁を選ぶように王妃から言い渡される王子(第1幕)。しかし森の湖で、白鳥に姿を変えられた美しいオデットを見初め、永遠の愛の力で魔力から救い出すことを誓います(第2幕)。

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ところが舞踏会に現れたオディールがオデットと瓜二つ。

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罠とも知らずに心を奪われたジークフリート王子が、オデットと信じて愛を誓うや、あざける悪魔ロットバルトが姿を現します(第3幕)。王子は湖に行き、オデットに自分の過ちを詫びますが、再び悪魔ロットバルトが現れ、2人に挑みかかります。湖に身を投げるオデットとそれを追うジークフリート。死をも恐れぬ2人の愛は、ついに悪魔ロットバルトをも滅ぼし、永遠の世界で結ばれる(第4幕)。

なお、『白鳥の湖』は1877年にライジンガーの振付で初演されるが成功せず、1895年に、マリウス・プティパとレフ・イワーノフが振り付けたものが現在の『白鳥の湖』の原型とされています。作品の結末に2人が湖に身を投げる「悲劇型」と、悪魔を打ち倒して現世で結ばれる「ハッピーエンド型」の2通りの流れがあることは有名ですが、これはもともと、2人が来世で結ばれる結末であったものを、社会主義政権時代に、より「健全」なハッピーエンドの結末が考案されたことが原因なのだそうです。正反対の結末が、ほぼ同等の観客の支持を得て定着しているのは興味深いことですね。

また、正反対といえば、ひとりのバレリーナが清楚なヒロインと妖艶な悪女を踊ることは、何か人間の奥深い真実に触れるような、何ともいえない魅力を観る者に感じさせます。演じるバレリーナが優れていればいるほど、どのように演じ分けてくれるのかという観客の期待も限りなく膨らむのです。この「一人二役」という要素もまた、『白鳥の湖』を特別なバレエにしている重要なポイントであるといえるでしょう。

子どもも大人も知っておきたい!バレエ『白鳥の湖』の作曲家 チャイコフスキー

バレエの歴史を語る上で絶対に不可欠な作曲家といえば、クラシックバレエの黎明期の19世紀に彗星のごとく登場し、三大バレエ『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』を作曲し、一代でバレエ音楽を最高レベルにまで引き上げたチャイコフスキーでしょう。

チャイコフスキーが作曲家を目指した時代、ロシアは芸術音楽の分野で、西欧のドイツやフランスなどに比べてかなり立ち遅れていました。初の音楽専門学校としてサンクトペテルブルク音楽院やモスクワ音楽院が開設されたのもその頃のことです。一方で、西欧の文化への憧れはロマノフ王朝下の貴族たちの間でそれ以前から強く、18世紀にはバレエ・マスターがイタリアやフランス、オーストリアから招かれ、バレエ文化が着実に育まれていました。

三大バレエの中で最初に手掛けたのが『白鳥の湖』です。若くしてモスクワ音楽院の教授に就任し、円熟期に入ろうとしていたチャイコフスキーは、親しくしていたボリショイ劇場の監督からバレエの委嘱を受けるのです。

『白鳥の湖』は、果てしない大地を思わせる壮大な響き、ロシア的メランコリーが香るロマンティックな旋律で、豊かなバレエの土壌にロシアの華となるバレエ音楽の伝統を見事に打ち立てました。

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子どもも大人も知っておきたい!バレエ『白鳥の湖』の見どころと名曲

それでは最後に、『白鳥の湖』の第1幕から第4幕までのそれぞれの見どころとこれだけはチェックしておきたい!という名曲についてご紹介します。

第1幕

第1幕は、パ・ド・トロワ(3人の踊り)や乾杯の踊りなど、王子の友人たちが繰り広げる明るい雰囲気の踊りが主な見どころです。王子の求めで村娘たちが踊る「ワルツ」は華やかで流麗な曲です。このワルツは、チャイコフスキーの書いたワルツの中でも,もっとも有名な曲の一つです。弦楽器のピツィカートによる序奏に続いて、ワルツのリズムが出てきます。このリズムに乗って、弦楽器がスケールの大きなメロディを優雅に歌い始めます。中間部では、微妙に短調に変わったり、トランペットによる楽しげなメロディが出て来たり、変化に富んだ曲想を楽しめます。最初のメロディが戻ってきて、ゴージャスなムードを高めて終わります。

第2幕

第2幕で踊られるグラン・アダジオは、オデットが出会ったばかりの王子に対して心を開いていく過程を表現する重要な見せ場です。ヴァイオリンとチェロによる静かな音楽(「情景」)のなかで王子の腕に身を預け、しなやかにポーズをとるオデットが見ものです。

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また、ファゴットの弾むリズム伴奏にのってダンサーたちが息の合った踊りをみせる4羽の小さな白鳥の踊り大きな白鳥の踊りを含む白鳥たちの群舞も、イワーノフが振り付けたフォーメーションの美が、観る人を幻想の世界に誘います。

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「4羽の小さな白鳥たちの踊り」はとても短い曲ですが、非常に有名な曲ですから、バレエを観たことがない方もどこかで聴いたことがあると思います。4人の女性が手を交差して組んで、ちょっとコミカルだけれども技巧的に踊るシーンは誰もが見たことがあるでしょう。ファゴットの「ポッ ポッ ポッ ポッ」という伴奏に乗って、オーボエが哀愁を帯びた旋律を演奏します。また、大きな白鳥の踊りは、前奏なしでいきなり主題が出てきます。「大きな白鳥の踊り」と呼ばれることもあるとおり、いかにも大柄な感じのするワルツです。

第3幕

第3幕は一転、王宮での豪華な舞踏会で民族色豊かな踊りが披露されます。いろいろなソロ楽器が登場する上、テンポが速くなって盛り上がる曲が多いので、「ディヴェルティスマン」という言葉どおり、気楽に楽しめるコーナーです。

最初に出てくるのは、チャールダッシュの「ハンガリーの踊り」です。ご挨拶をするような感じの序奏に続いて、哀愁を帯びたメロディがゆったりとヴァイオリンで歌われます。途中、リズムが活発になり、テンポが急に速くなります。そのまま熱狂的に結ばれます。

お次は「スペインの踊り」です。カスタネットなども加わったボレロのエキゾティックなリズムが一貫して続く楽しい曲です。管楽器に出てくる主旋律もエキゾティックで、魅力的です。最後の方ではテンポがさらに軽快になり、華やかに結ばれます。

続いて、「ナポリの踊り」です。序奏の後,コルネットが気持ち良さそうにナポリ風の歌を歌います。チャイコフスキーはイタリア奇想曲という曲を作っていますが、その曲などを彷彿とさせます。後半はプレストになり、タランテラ舞曲になります。コルネット奏者の見せ所となる曲です。

最後は「マズルカ」。力強いポーランドの踊りです。華やかな打楽器のリズムを伴ったマズルカの主旋律の後、クラリネット二重奏を中心としたトリオになります。

このように、異国情緒溢れるキャラク・ダンスが華やかさを盛り上げると、そのクライマックスでオディールと王子の「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」が踊られます。オデットに似た動きを入れつつ、王子を妖しく誘い、惑わせるオディールの演技に注目です!王子に対する勝利を確信したオディールがコーダで見せる32回の「グラン・フェッテ・アン・トゥールナン」はあまりにも有名ですが、何度観てもとても見応えがあります!

第4幕

クライマックスは、白鳥のテーマが悲壮感を漂わせつつ大きく盛り上がり、オデットがついに湖に身を躍らせ、王子もその後を追います。その後、金管楽器を中心として力強く白鳥のテーマが長調で演奏され、死をも怖れぬ二人の愛の力によって悪魔ロットバルトが征服され、二人の魂は永遠の世界で結ばれていくことを暗示しています。これでもかこれでもかと大げさな音楽が続きますが、これがチャイコフスキーの音楽の魅力です。バレエ全体のクライマックスとなります。

終結部では、高音の弦とハープが美しいトレモロを演奏し、平和な世界が戻ってきます。嵐が収まり、月明かりの中で、人間に戻ることのできた白鳥たちが、天に昇るオデットと王子の魂を見守ります。管楽器の和音が繰り返し重なってきて、重厚な雰囲気の中で全編の幕となります。

子どもも大人も知っておきたい!バレエ『白鳥の湖』の見どころと名曲、いかがでしたか?

まだ生の舞台を観ていない方は、ぜひ一度、鍛え上げられ洗練された肉体からほとばしるエネルギーと圧巻の構成美を、心に響く幻想的な音楽とともに、劇場で味わってみてください。きっとそのあまりの美しさに、バレエの虜になってしまいますよ!

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ひざ下
こどもバレエ教室ダンスアンジュ
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