トウシューズを履いて小指やつま先が痛い場合の原因と対処法


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トウシューズを履いて踊るバレリーナは、キラキラと輝きを放ちながら、まるで妖精が宙を舞っているかのように幻想的ですよね。

いつかわたしもあんな風に… と夢を抱き、先生にお許しをもらって初めてトウシューズを手にしたときの感動と興奮をわたしは今でも忘れられません。

でも、トウシューズを履きこなすための道のりはやはり簡単ではありませんでした。特に初めのうちは、足指の皮が向けて、ヒリヒリするような痛みと闘いながら目に涙を浮かべて踊ることもしょっちゅうで…。夢を叶えるためには、時に厳しい現実と向き合わなくてはなりません。それでも、ドゥミポアントからポアントに立ち上がり、いつもより5cm上の新たな世界が見えたとき、バレエがもっと好きになって、その世界の虜になってしまうんですよね。

この記事では、そんなバレリーナさんたちの大切な足を守るために、バレリーナさんのお悩みのなかでも特に多い、トウシューズを履いて小指・親指・他つま先が痛い場合の原因と対処方法について詳しくご紹介していきます。トウシューズを履き始めたばかりで小指・親指・他つま先が痛い場合は、トウシューズのボックス部分が固くてまだ馴染んでいないことや、トウパッドを分厚くし過ぎて足指が圧迫されている可能性が考えられますので、ボックスを柔らかくしたり、トウパッドを変える・切るといった処置が必要ですが、トウシューズを履いてしばらく立つのに痛みが治らないという方は、ぜひ以下の記事をご参照くださいませ。

トウシューズを履いて小指・親指・他つま先が痛い場合の原因と対処法① 〜マメ・タコ・ウオノメ

症状

それではまず、トウシューズに関する足のトラブル第1位のマメ・タコ・ウオノメの症状を簡単に説明します。マメとは、皮膚に固いものがあたってこすれるうちにできる水ぶくれのことです。水ぶくれがやぶれると痛んだり炎症を起こしたりします。タコは、マメが何度もつぶれるうちに皮膚が厚く固くなった状態のことで、見かけはよくありませんが、痛みはありません。ウオノメは、タコの固い部分が円錐型のとがったかたまりになり、皮膚の奥に入っていった状態のことです。「芯」があるので少し押しただけで痛むようになります。

原因

こうした症状とは、何が原因で起こるのでしょうか。マメやタコは、トウシューズと足がこすれたり、シューズの中で指同士がこすれることでできます。あまりにひどい場合は、トウシューズが合っていない可能性がありますので、あらためて専門の方にフィッティングをしてもらう必要があります。ウオノメは、体重を足の同じ部分ばかりにかけるとできます。また、ウィルスによってできることもあります。他人からうつる場合も、自分の皮膚の他の部分からうつる場合もあります。

予防法

マメ・タコ・ウオノメを予防するには、足に合ったトウシューズを入念に選ぶことが大切です。とはいえ、初めのうちは、どのトウシューズが自分の足にぴったり合っているのか、履き比べてみないとなかなか分かりづらいですよね。トウシューズを履き始めたばかりで皮膚がまだ柔らかい人は、必要に応じてトウパッドを使ったり、足指にテーピングをしたりして、皮膚を保護すると良いでしょう。最近はトウパッドの材質の種類が増え、シリコン・ジェル・スポンジ・ウール・布など多様です。いろいろと試してみて、自分のつま先の感覚に心地よくフィットするものが見つかると良いですね。また、ウオノメを予防するには、体重が同じ部分ばかりにかからないようにすることが重要です。上体を正しくしっかりと引き上げ、力まずまっすぐに立つことを心がけましょう。

マメ・タコ・ウオノメができてしまった場合の対処法

マメができてしまったら、トウパッドやテーピングで保護します。最近は、つま先のケアグッズとして、足指の一本一本にかぶせるキャップタイプのものも販売されていますので、マメが当たって痛い指をそうしたグッズでケアすると良いでしょう。ただし、トウシューズの中で指が動かなくなってしまっては困りますので、足指にケアグッズを使う時にはトウパッドを薄いタイプにするなど工夫しましょう。また、ウオノメは、浅いものなら軟膏や専用の絆創膏を貼って皮膚を柔らかくしてから、自分で削って治すことができます。でも深くなってしまった場合は、皮膚科で切除してもらう方が良いでしょう。自分で勝手にとろうとするとばい菌が入ってしまうことがありますから注意しましょう。

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トウシューズを履いて小指・親指・他つま先が痛い場合の原因と対処法② 〜爪下血腫(そうかけっしゅ)

症状

足に合わないトウシューズを履くと、小指・親指・他つま先の爪が圧迫されて、爪の下に血がたまり、とても痛みます。ですが、一度爪が黒くなってしまうと、それほど痛まなくなります。血腫が小さく、痛みがない場合は自然治癒に任せて大丈夫です。時間とともに色が薄くなり、だんだんと治っていきます。ただし、爪の1/3以上を占める大きな血腫があったり、痛みが強い、数日経っても痛みが引かない場合は処置が必要です。痛いのは、出血量が多く、血が行き場をなくしているためです。血を抜くことによって痛みはなくなります。

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原因

足に合わないトウシューズを履いていたり、クセのある立ち方をしたりして、指先を曲げてしまっていることが原因の一つです。また、足の第2趾が長い、いわゆる「ギリシャ型」の足の人は、第2趾にばかり体重をかけてしまい、爪下血腫になりやすい傾向があります。

予防法

マメやタコの場合と同様、まず足に合うトウシューズを見つけることです。そして、余計な部分に負担をかけないように、トウシューズを履いてまっすぐに立てるように訓練することです。また、「ギリシャ型」の足の人は、第2趾の長さに合わせて、他の指の先に詰め物をすると良いでしょう。爪のトラブルを予防するためには、いつも清潔にしておくことが肝心です。爪の中は、ばい菌が溜まりやすいので、適当な長さに切っておきましょう。お風呂上りには、タオルで足の指の間までしっかりと拭く習慣をつけることも大切です。

爪下血腫になってしまった場合の対処法

すみやかに病院に行きましょう。爪のトラブルは「たかが爪のことで・・・」と考えて、多少痛くても我慢してしまう人が多いようです。そうしているうちにひどくなり、トウシューズに足が触れただけで激痛が走ることが少なくありません。こうなると治すのに時間がかかり、レッスンに通うこともできなくなってしまいます。また、巻き爪の人は、「爪周囲炎」といって、爪の端からばい菌が入り込み足指の周りの皮膚に炎症が起こる場合があります。この場合にも、早めに病院へ行き、治療してもらいましょう。image

トウシューズを履いて小指・親指・他つま先が痛い場合の原因と対処法③−外反母趾(がいはんぼし)

症状

外反母趾とは、足裏の筋肉がゆるんだために、親指の付け根の部分がだらりと横に広がった状態のことです。足の親指の先が小指側に倒れこみ、親指の根元が突き出したように変形して見えます。突き出た部分がトウシューズに当たり、痛みます。

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原因

トウシューズでポアントに立つ時は、足裏の筋肉を最大限に収縮させることで足のアーチを作り、バランスをとっています。これが充分にできず、シューズの中で足の指を折り曲げたりして親指の根元に体重をかけていると、外反母趾になってしまいます。

また、脚のつけ根からアン・ドゥオールができず、つま先だけを無理に開こうとして、親指に体重をかけて立つこと(足のローリング・イン)も、外反母趾の原因になります。ポアントに立ったときに体重をかけやすい人も注意が必要です。

予防法

トウシューズでのレッスンで足裏の筋肉を強化することによって、指のつけ根の筋肉が横に広がるのを防ぐことができます。トウシューズで立つ時は、いつも両足のつま先を均等に床につけて、正しいポジションを心がけましょう。間違ったポジションで踊ることで、外反母趾になることもありますから注意してください。

外反母趾になってしまった場合の対処法

外反母趾があまりにもひどい場合には、日常生活にも支障をきたしますから、病院を受診して適切な処置を受けることをお勧めしますが、軽い状態でしたら、次のような処置が有効です。

①テーピング

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市販のキネシオテープを、足指のつけ根から土踏まずまでの部分に巻きつけます。下の写真では、5cm幅のものを使用しています。この処置は、土踏まずが低下して足の裏が痛む「足底筋膜炎」や「扁平足」の改善にもオススメです。

②マッサージ

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親指の下方の筋肉が硬くなると、親指が内側に入りやすくなるので、レッスン前後にこまめにほぐしておきましょう。

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また、指から甲に伸びる5本の骨(中足骨)の間にも筋肉がありまして、そこが硬くなるとら指を開けず外反母趾の原因になるので、親指と人差し指の骨の間をグイグイ押すように揉みほぐしましょう。指がしっかり開けると、つま先をコントロールしやすくなります。

③エクササイズ

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ポアントでバランスをとるには、指を一本ずつ自由に動かせるようになるのが理想です。エクササイズ・バンドを使って足の指に軽い負荷をかけ、親指から小指までを一本ずつ曲げる訓練を行いましょう。バンドにはいろいろな強度のものがありますが、ここではできるだけ負荷の軽いものが良いです。指の筋肉は足首の上までつながっていますから、指を鍛えると足の裏全体に加えて、横のアーチも鍛えられて外反母趾の改善につながるのです。

これまで、トウシューズを履いて小指・親指・他つま先が痛い場合の原因と対処法についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?夢に向かって、様々な足の痛みと闘いながらがんばるバレリーナさんたちにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。これらの怪我は、適切な予防と対処法によって充分に改善できますので、ぜひ大切な足を守り、質の高い踊りを目指して日々努力を積み重ねてもらいたいと願います。

こちらの記事もご覧ください。
子どものバレエ〜初めてのトウシューズの選び方

なお、この記事は、『クララ・クロワゼ編 トウシューズ パーフェクト・ブック』を参考にしております。

 


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