憧れのトウシューズを履いて、怪我することなく正しく立ち、美しく踊ることができるようになるためには、子どももおとなもいくつかの大切な条件をクリアしている必要があります。
この記事ではまず、トウシューズを履く上での注意点について、子どもの場合とおとなの場合に分けてお話した後、トウシューズの立ち方を画像で丁寧にご説明します。そして最後に、トウシューズを履いて正しく立てるようになるためのいくつかの条件についてご紹介します。現在すでにトウシューズを履いているけれどもケガに悩まされている方は、もしかしたら、トウシューズが脚に合っていないのではなく、トウシューズを履くためのからだ作りが足りていないのかもしれません。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
トウシューズの立ち方(画像)①-トウシューズを履く上での注意点
トウシューズの立ち方を確認する前に、まずは、トウシューズを履く上での注意点について、子どもの場合とおとなの場合に分けてお話します。知っておかないと、トウシューズを履いて大ケガをすることにもつながりかねません。よく読んで、今のあなたの体の状態がトウシューズを履くのに適しているかどうか、チェックしてみましょう。
人間の骨は、生まれてからおとなになるまでに少しずつ成長し、固さも質も変化していきます。子どもの骨は、まだ柔らかく、鼻や耳の骨のような「軟骨」がとても多い状態です。これから長い時間をかけて、固い骨へと完成していくのです。
一般的に、骨は10〜12歳で固まり始め、女性の場合は生理が始まってから2〜3年経った頃に完成すると言われています。固まる前のまだ柔らかい骨は、外から強い力が加わると、変形する可能性があります。また、ムリなレッスンで足を使い過ぎると、骨の成長に必要な部分がダメージを受けてしまうのです。
トウシューズを履くには、バレエの基本レッスンで身につけた筋肉の他に、ある程度固まった骨が必要とされます。これを自分一人で見極めるのはとても難しいので、トウシューズを履く時期は、普段から自分のからだの状態をよく見てくれている、信頼できる先生の判断を仰ぎ、先生の判断にお任せしましょう。
すでに体が出来上がっているおとなの場合は、骨が変形するリスクはありません。そのかわり、筋肉は徐々に衰え、体重も子どもに較べると重いので、捻挫などの危険性が出てきます。それでも履きたいという意志があり、バレエの基本レッスンをある程度積み上げてきているのであれば、まずは「踊る」のではなく「トレーニング」として、トウシューズを履くのが良いと思います。トウシューズはバレエシューズよりも固いので、足裏の筋肉が鍛えられますし、ポアントに立つことで、さらに上体の引き上げが身についていくからです。ただし必ず、両手はバーにつかまった状態で履きましょう。
子どもの体と違って、おとなの体はそう簡単には変化してくれません。週1回、15〜20分程度トウシューズを履いているだけで、ヴァリエーションを踊れるまでに進歩することはなかなか難しいですね。トウシューズで「踊る」ことを目標にしているのでしたら、毎日5分でもいいので、足指や足裏を鍛えるエクササイズを家でも行い、トレーニングすることをオススメします。もちろんその際は、バーに代わるものに両手でつかまり、上体をしっかりと引き上げ、体をまっすぐに保つことを忘れないようにしましょう。
トウシューズの立ち方(画像)②-正しく立つために
それでは、トウシューズの正しい立ち方を画像でご説明します。クリアできているかどうか、ぜひチェックしてみてください。
①膝が伸びている
②足首がまっすぐに伸びている
③甲の上の方がしっかりと伸びている
④5本の指をスッと1本に締める感覚でまっすぐに伸びている
④プラットフォームの全面が床についている
足の甲がしっかりと伸びていないと、まっすぐに立つことができず、ポアントワークもグラグラしてしまいます。また、甲が伸びていないままバランスを取ろうとしすると膝が曲がり、さらにお尻まで出てしまうこともありますので要注意です。なかなか足の甲が出ない人は、つま先を伸ばすのに、足の指をぎゅっと丸めてしまっていることが多いようです。すべての指をまっすぐに伸ばし、甲のできるだけ上のほう(足首に近いところ)を伸ばすように意識しましょう。
トウシューズの立ち方(画像)③-より美しく立つために
トウシューズでより美しく立つためには、膝やつま先だけではなく、体全体をコントロールできる状態にあることが必要です。
①上体の引き上げができている
バレエシューズでのセンター・レッスンで、ぐらつかずにグラン・プリエができますか?
肩は下にさげながら、腰から上は天井に向けてスーッと伸ばす -上体の引き上げは、バレエの基本です。下半身への負担を減らすと同時に、どんなポーズでもぐらつかない強いボディをつくります。トウシューズの時は指先だけで体を支えなければいけないので、バレエシューズの時以上に引き上げが重要です。センター・レッスンになると体がぐらついてパをこなせない人は、もうしばらくバレエシューズでのレッスンを重ねた方が良いでしょう。ムリして履いてもバランスがとれませんし、トウシューズに「のっかる」悪い癖がついて、膝や足首、足指をケガしてしまいます。
②片脚ルルベでもぐらつかない
バレエシューズで、ピルエットのシングルがきれいに回れますか?
トウシューズでポイントに立つには、ドゥミ・ポアントで踵を高く持ち上げ、膝をゆるめないための脚全体の筋力、そして甲と足首の柔軟性が必要です。バレエシューズを履いて片脚ルルベに立ったとき、ルルベが低くて足首が安定せず、体がぐらついたりするようなら、まだトウシューズを履くのは早いかもしれません。ゴムバンドを使ったエクササイズで足を鍛えたり、正しいバー・レッスンで脚全体を強くして、充分な筋力と柔軟性をつけましょう。
③どんなポジションでも、アン・ドゥオールを意識できる
脚の内側の筋肉を使って、付け根から足先までしっかりとアン・ドゥオールしていないと、トウシューズを履いたときに脚が安定しません。180度ムリに脚を開く必要はありませんが、自分にできる最大限のアン・ドゥオールを、レッスンのあいだ常に意識して、維持できるようにしましょう。そうしないと、トウシューズで踊るのは危険です。
また、プロのダンサーの体形を見ればわかるように、体重がある程度軽くないと、足に負担をかけてしまいます。体重が重すぎる場合トウシューズを履いたときに膝や足首を傷める恐れがあります。健康のためにも、トウシューズで安全に美しく踊るためにも、ある程度体重をコントロールすることは大切ですね。
この記事では、トウシューズの立ち方(画像)や正しく立つために必要な条件についてご説明してきました。これらのことをおさえつつ、日々の基本レッスンと、トウシューズのための足指や足裏のエクササイズをこまめに行って足を大切にケアしながら、トウシューズで美しく立ち、バレエでしか表現できない幻想的な世界をますます楽しみたいものですね。
こちらの記事もご覧ください。
⇨子どものバレエ〜初めてのトウシューズの選び方
なお、この記事は、『クララ・クロワゼ編 トウシューズパーフェクトブック』を参考にしております。
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